ATA RANGI – アタランギ

産地 Martinborough マーティンボロー
設立 1980年
オーナー クライヴ・ペイトン&フィル・パティ夫妻、アリソン・ペイトン
醸造家 ヘレン・マスターズ

アタランギ=新たな始まり

マオリ語で“夜明けの空”、“新たな始まり”を意味するアタランギは、1980年、牧場農家だったアタランギの創設者クライヴ・ペイトンがマーティンボローの町の端にある5haほどの石ころだらけの放牧地にブドウを植えたのが始まりです。
その後、クライヴの妹アリソン・ マスターズが加わり、1986 年には後にクライヴの伴侶となる醸造家 フィル・パティが参画。この地は”マーティンボローテラス”と 呼ばれるごく浅いシルトに覆われた砂礫まじりの沖積土壌で、約25mの深さまで水はけのよい地層が続き、風味の凝縮したブドウが実ります。
”テラス”で栽培されたブドウの評判はすぐさま広まり、マーティンボローは一躍、ニュージーランドを代表するピノノワールのプレミアム産地として認知されました。

畑とその特徴

現在、アタランギの収穫は計55haの畑からなり、その半分は自社畑と一部リース契約により自社で栽培管理をしています。
契約畑の多くは自社畑と同様にシルトに覆われた水はけのよい土壌で、年間降雨量が平均700mmと少なく、収量は1ha当たり4tと低収量に抑えられています。
マーティンボローとその周辺一帯は、湾から内陸に向かって吹きつける強い風により春先の開花時期の結実が難しく、他の地域よりも樹1本あたりの房数が非常に少なく、またブドウの実が風から自己防御するように果皮を厚くして、それが風味を凝縮させるといわれています。
アタランギでは殺虫剤、化学肥料、除草剤などは使用せず、調合剤やワイルドフラワー、地下の自然の土を掘り起こし散布するなど 、有機栽培と一部バイオダイナミック栽培を取り入れています。ワイナリーは国際標準化機構 (ISO) が発行する、環境マネジメントシステムISO14001に認定されています。
アタランギのすべての自社畑は2014年にニュージーランドのオーガニック認証機関バイオグロ(Bio Gro)の認証を受けました。

「マクローン・ヴィンヤード」

オレゴン州ヤムヒル・カウンティにピノノワールの畑を所有するドン&キャロル・マクローン夫妻は、1988年オレゴンで開かれた「インター ナショナル ピノノワール セレブレーション」でクライヴとフィルに出会ったことを機に2001年、アタランギとともにマーティンボローにヴィンヤードプロジェクトを立ち上げました。アタランギのホームヴィンヤードから東へ600m離れたマクローン ヴィンヤード (2.8ha)は、砂利質土壌の上層を粘土層(80cm)が覆います。粘土層の特性が反映されたマクローン ヴィンヤードは、「アタランギ ピノノワール」と比べると、香りはスパイシーでミッドパレットに厚みが感じられます。 2008 年に初めて単一畑として仕込まれ 、 2013年に公式に初リリースされました。2011年にマクローン夫妻が引退し、アタランギの畑所有者となりました。

「エイベル・クローン」のぶどう

1970年代、ニュージーランドの税関職員でオークランド近郊自園でブドウ栽培をしていたマルコム・エイベル氏が、あるニュージーランドの旅行者がロマネコンティの畑に忍び込み違法に持ち帰ったブドウの穂木を入国時に没収し、検疫所で検査した後、それを自園の畑に植えたものがエイベル・クローンの始まり。
エイベル氏の知人だったクライヴ・ペイトンは、彼の畑に植えられていたその樹を譲り受けて自分たちの畑に植え足し、それらの樹からピノノワールを造りはじめました。
現在、アタランギ ピノノワールの区画の多くは、 このエイベル・クローンが中核となっています。

主な受賞等

・1995年、1996年、2001年The International Wine&Spirit Competition(IWSC)インターナショナルワイン&スピリットコンペティション:アタランギ ピノノワール「最優秀ピノノワールトロフィー」
・ウェリントンで開催されたInternational Pinot Noirインターナショナルピノノワール2010「TipurangaTeiteio Aotearoa 」賞受賞(アタランギピノノワールが質・評価・知名度においてニュージーランド国内のピノノワールの発展・成長に長年にわたって大きく貢献してきたことを表彰するもの。NZピノノワールにおける「グランクリュ」、「もっとも偉大な成長」と称えられた)
・醸造家ヘレン・マスターズがGourmet Traveller Wine Magazine(豪州の有名ワイン誌)「2019 New Zealand Winemaker of the Year(ニュージーランドワインメーカーオブザイヤー)」に選出